老いるということ

高齢者を支える人たちに伝えたい実情を語っています

高齢者に見られる老人性うつの症状

老人性うつとは、高齢者に多くみられる気分の落ち込みが続く病気です。
単なる気分の落ち込みではなく、日常生活に支障をきたすほどの深刻な状態になることもあります。


高齢者にみられるうつには、他の年齢では観られないような特徴があります。
一つ目は、加齢に伴う心身機能の低下です。体力が落ちたり、病気をしたりすることで、気持ちが落ち込みやすくなります。


二つ目は、社会的な役割の喪失への不安です。
定年退職などで社会との繋がりが薄くなると、自分の存在意義を見失い、孤独感を感じやすくなります。


これらの状況下で、心身機能の低下や孤独を受け入れられないと、老人性うつを発症する可能性が高まります。
若い頃のように活動できない自分や、周囲との関係の変化に戸惑い、気持ちが沈んでしまうのです。


また、老人性うつは認知症とも深く関わりがあるとされています。
認知症の前触れに、うつ症状が現れる場合があるのです。
物忘れがひどくなったと感じていても、実はうつの症状かもしれません。


逆に、うつ病になると考えることが億劫になり集中力も低下するため、認知症のように見えてしまうこともあります。
これを「仮性認知症」と言います。
この場合、うつ病を治療すると認知機能や日常生活の機能が改善に向かうこともあるようです。


もし、ご家族やご自身が老人性うつの症状に当てはまると思われる場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。
適切な治療を受けることで、症状の改善や進行の抑制が期待できます。

メンタルが不安定になりやすい高齢者の実情

高齢者は様々な要因からメンタルの変化が起きやすいです。
メンタルが変化する要因の1つに、日常生活の喪失体験が挙げられます。
例えば、定年を迎えることもその要因になり得ます。


実際、仕事を引退した後、社会的地位と経済的基盤の喪失を感じ、生きる気力を無くしてしまうケースは少なくないのです。
仕事一筋の人であればなおさら、社会への参加や活動の機会を失い、閉じこもりがちになる場合があります。


そして子どもが自立して自分の元から離れた後、遠方にいて関わる機会が少ない場合は孤立感が生まれます。
子どもとの社会的地位の逆転もあり、葛藤が起きやすくなってメンタルに変化が出てくるケースもあります。


また、高齢になると配偶者や友人との死別も増えてきます。
大切な人の死は、特に大きくメンタルに影響を及ぼします。
特に長く付き合ってきた家族の死は、そう簡単に立ち直れるものではありません。
中には、塞ぎ込みがちになってうつ状態に陥る高齢者も多くいるのです。


さらに、自身の病気や身体の衰えによってもメンタルは左右されます。
病気への不安感、意欲の低下などを引き起こすことで、感情表現も乏しくなってしまいます。
こうした様々な喪失体験によって、メンタルは徐々に変化していきます。


高齢者には上記のような背景があるため、介護の場面では些細なメンタルの変化を見逃してはいけません。
ちょっとした変化でも、SOSを出している可能性があるからです。


高齢者のメンタルに寄り添う上で大事なのが、本人の話をしっかり傾聴し、肯定してあげることです。
メンタルに変化が起きると、マイナスな感情を抱きがちになります。
本人が自信を持てない分、周囲の人が肯定することが大切なのです。
本人と積極的に接して、自己肯定感を支えることを意識しましょう。
高齢者のメンタルケアに役立つ情報が以下のサイト(http://mentalcare-kaigo.com)に記述されていたので、こちらも参考にしてみてください。